長期滞在したヨーロッパや音楽、その後の日本での生活を話題に!


by chisanakonomi
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父への手紙

この詩はフランスのイヴ・デュテイユというシンガー・ソング・ライターの作品です。

父への手紙

長い間僕はあなたを探していた
行ってしまう時あなたは僕に
愛の言葉の大きな包みと
もっとずっと重い沈黙を残していった

あなたが戦争中に逃げていたという
あの妄想の思い出
船、汽車、トラック、
駅のホーム、客車

この暗い年月の恐怖を
僕はあなたの目の中に見ていた
恐ろしさと絶望と
強制労働の年月の

きっといつか、あなたが僕を待っていたら
あの時代のことをみんな話そう

語り合うこともなく失われた時代
微笑みあうこともできずに

最後がきたのを感じた時
僕はあなたの手を握っていた
そして何時間もあなたに話していた
あなたの心臓の鼓動を見つめながら

あなたのやりかたで 僕達を愛してくれた
けれど聞きたかった言葉はみんな
うんと深いところへ埋められたまま
未決で牢獄に入っている

天のあなたに、もし僕達の声が聞えたら
時々僕達のところへ帰って来てください
あなたはとうとう平和を見つけたの?
そこでは休めるの?

僕はちょうど50歳になった
あなたは行くときに僕に残した
この悲しくつらい視線を
不幸な子供の肖像画を

自分の場所が見つからず
自分の殻に閉じこもった子供
妖精も神も決してその子に
目を注いであげなかったにちがいない

星の陰でどうにかこうにか
大きくなたけれど
北の国を見つけることもできず
あなたはまた旅立たなければならなかった

夜中に野原を歩いていく けれど
時がたつにつれて、あなたの手紙には
この苦しみと恐怖のあとに
よりよいものだけが残った

あなたのやり方で僕達を愛してくれた
けれど聞きたかった言葉はみんな
うんと深いところに埋められたまま
未決で牢獄に入っている

天のあなたに、もし僕達の声が聞えたら
時々僕達のところへ帰って来てください
あなたはとうとう平和を見つけたの?
そこでは休めるの?

僕がこんなに愛していたお父さん
僕はあなたをずっと探していた
でもこれからは あなたは旅をしている
僕の近くを、かつてないほど近くを

僕の思い出の中で安らかに眠って下さい
僕達の物語で一番優しいもの
それは言わなかった言葉
僕はあなたにそれを捧げる

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by chisanakonomi | 2008-04-11 00:49